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MySQLにウィンドウ関数導入が遅れたのはなぜか調べてみた

MySQLにウィンドウ関数導入が遅れたのはなぜか調べてみた
2025.07.09

SQLのウィンドウ関数は、データ分析において極めて強力な機能です。しかし、MySQLがこの機能をサポートしたのは2018年のバージョン8.0からでした。一方、PostgreSQLは2009年(バージョン8.4)、Oracle Databaseは1998年、SQL Serverは2005年から部分的に、2012年から完全にサポートしていました。なぜMySQLはこれほど遅れたのでしょうか?本記事では、その背景を調査しました。


主要データベースのウィンドウ関数サポート時期

各主要データベースがウィンドウ関数をサポートし始めた時期を整理すると:

MySQLは主要なRDBMSの中で最後にウィンドウ関数を実装したことがわかります。

MySQLは標準SQL機能の実装において、他の主要データベースから大幅に遅れていたということになります。

MySQLへの導入が遅れた主な理由

1. Sun MicrosystemsによるMySQL買収とOracleによる統合(2008-2010)

2008年2月、Sun MicrosystemsはMySQL ABを10億ドルで買収しました。しかし、2010年1月27日、Oracle CorporationによるSun Microsystemsの買収が完了しました。この買収プロセスは複雑で、特に欧州委員会は、OracleのMySQL計画に関する懸念から、買収を数か月間遅延させました。
この2年間の移行期間中、MySQLの開発は事実上停滞しました。新機能の開発よりも、組織統合と将来の方向性の決定が優先されたためです。

2. Oracleの開発優先順位

Oracleは自社のOracle Databaseという強力な商用データベースを持っており、MySQLは主に読み取り専用の操作に最適化された軽量で高速なデータベースとして位置づけられていました。ウィンドウ関数のような高度な分析機能は、Oracle Databaseとの差別化要因でもあったため、MySQLへの実装優先度は低かったと考えられます。

3. 設計の違い

MySQLはシンプル機能を提供することで、軽量性、安定性、処理速度(特に読み取り専用クエリ)を優先する設計なので、ウィンドウ関数のような複雑な機能の追加は、この哲学と相反する部分がありました。

4. コミュニティの分裂

Oracle買収後、MySQLの採用は大幅に減少し、オープンソース分野での開発進捗は停滞し、開発ユーザー数が減っていったという経緯があるようです。

5. 技術的な実装の複雑さ

PostgreSQLのウィンドウ関数の実装は、MySQLの実装よりも効率的でパフォーマンスが高いと考えられています。MySQLは既存のアーキテクチャにウィンドウ関数を統合するために、大規模な内部変更が必要でした。

まとめ

MySQLへのウィンドウ関数導入が遅れた主な理由は:

  1. 2008-2010年のSun/Oracle買収による開発停滞
  2. Oracleの製品ポートフォリオにおける位置づけ
  3. MySQLの設計思想の違い
  4. コミュニティの分裂による開発リソースの分散
  5. 技術的な実装の複雑さ


これらの要因が複合的に作用し、MySQLは主要RDBMSの中で最後にウィンドウ関数を実装することになったと想定されます。
現在のMySQL 8.0以降では、他のデータベースと同等のウィンドウ関数機能を利用できるようになり、複雑なデータ分析タスクも効率的に実行できるようになりました。

参考